〒350-0816 埼玉県川越市大字上戸97-12 TEL:049-234-5910
  • 標準
  • 大
  • 特大

狂犬病ワクチンについて

 

Dr.くまひげ動物病院狂犬病ワクチンは、現在接種率の低下が大変問題になっています。昭和30年代までは日本にも狂犬病は発生していたのです。集団接種などの大変な努力により、日本は清浄国になったのです。世界でも清浄国は島国が多く、オーストラリア、イギリス、アイルランド、アイスランド、スウェーデン、ノルウェーぐらいです。

アジアは特に狂犬病の猛威に現在もさらされています。日本人もアジアを旅行した際に野良犬に噛まれて死亡しています。狂犬病になると死亡率は100%なので、恐ろしい感染症です。

日本に海外から沢山の動物が輸入されています。もし、狂犬病ウイルスを保有した動物が入ってきたら(多くは密輸でしょう)、ヒトや動物を守れるでしょうか?答えは守れないレベルに低下しているというのが現状です。犬のワクチン接種率が80%であれば、蔓延することはありません、WHOでも最低70%を目標値として掲げています。しかし70%台あるいはそれ以下(60%を切るかもしれない)にまで落ち込んでいる現状(厚生省発表)はとても危険です。厚生省発表の登録頭数とペットフード工業会発表の飼育頭数には大きな隔たりがあり、飼育頭数を母数とすれば、接種率は一気に40%台にまで落ち込む危機的状況です。

事実、お隣の国「韓国」では一時「狂犬病撲滅」出来た時期がありました。しかし、38度線境界領域に野生生物が往来することで、狂犬病が韓国内に入り込んでしまいました。この時の接種率が20%台であったため、狂犬病は蔓延してしまいました。現在では接種率40%台まで回復しているのですが、「狂犬病撲滅」まで至っていないのです。

狂犬病はワンちゃんのためだけに接種しているのではないのです。ヒトを守る公衆衛生の意味があるのです。ですから、私はすべての飼い主さんに狂犬病ワクチンを毎年接種するようにお願いをしています。強制的に接種する権限は、私たち獣医師にはありません。あくまでも接種をお願いする立場でしかないのが悲しいです。狂犬病予防法という法律により、毎年1回接種を義務づけているのが現状です。但し、罰則規定がないので、接種しなくてもうやむやになってしまっています。

狂犬病ワクチンの副作用で、不幸にも命を落とすワンちゃんがいることは事実です。多くはアナフィラキシーショックでなくなることが多いのですが、接種後30分よく観察していて、何かおかしい、ぐったりするなどの症状が現れたら、早急に処置をすれば命を落とす可能性はずっと少なくなります。集団免疫(多くの動物が抗体を保有する)の観点から、このような副作用の事例があっても接種をすることのメリットがはるかに多いのです。

獣医師の中にも、公衆衛生の意味を知らずに、狂犬病は日本にないから打たなくていいよ!などという方がいることは事実です。しかし、これは明らかに間違いだと思います。是非、上記の点をご理解されて、接種されるようにお願い致します。

毎年4月~6月は狂犬病予防強化月間

なるべくこの時期に接種されることをお勧めします。ただし、この時期に接種できない場合は、年度内に接種して頂ければ結構です。

アメリカは3年に1回、日本は何故1年に1回?

アメリカでは生ワクチンで3年保証できるワクチンが接種されているのに対して、日本では1年しか保証できない不活化ワクチンが接種されているからです。将来的に3年に1度で良い狂犬病ワクチンが接種可能かもしれませんが、現時点では毎年接種しましょう!

  • ホーム
  • 動物病院紹介
  • 診療案内
  • 診療時間・地図